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32《助けて》

その時ーー。 「アサトォォ!!」 呼び声に応えるように… 遠くから、力強く名前を呼ぶ声が… 「…!!ッラウ!?助けてッラウッ!!」 空耳じゃない、確かにラウの声が… そう思うと同時に叫んでいた。 ガサガサッと小屋へ登ってくる音… 姿を見せたラウが目にしたのは… 「ッ!!?」 アサトは裸体で黒獣人に捕まっていて、シィは倒れ込んでいる。 「アサトッ!!シィ!?」 入り口付近に倒れているシィのもとへ飛び、状態を見つつ、上がった息を抑え黒獣人を睨みつける。 「チッ、おっと近づくな、こいつのフェロモン腺に牙をたてられたいか?」 不機嫌に舌打ちし、アサトを盾にするように、ラウへ威嚇する。 「ッ、」 「ッ嫌、…ラウ!シィを助けてっぐッ!」 触れてくるガイルの手を避けながら叫ぶが、大きな手で口を覆われる。 「黙れ、人間!…今、丁度いいところなんだ、そこで俺たちが繋がるのを眺めてな、人間を愛でるキチガイな(おさ)のラウ」 首筋を舐めながら、抱き寄せ、獣人のペニスを後ろの窄みに押しつけてくる。 「あ、いやだッ、ラウ…ッん、約束…っ、ごめんッ」 ラウの目の前で… 様々な感情が押し寄せてくる。 「やめろぉッ!!!」 ラウは叫ぶが… ガイルは構わず首筋を噛もうと口を開ける。 熱い息がかかり… 首筋に牙が触れた… もうやられたと思った。 終わりだ、ラウとは違うαのツガイに… もう、この群には… ラウの傍にはいられない… この獣人の玩具になるーー。 覚悟を決めて、瞳を閉じると、ほろりと涙が零れ落ちる。

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