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37《獣人と愛する人》

「…赤ちゃんできちゃうかな…」 そっと下腹部をさすりながらポツリと呟く。 「俺とアサトの仔だ、アサトに似たら絶対可愛くなる」 その手を包むように優しく触れながら囁く。 「オレはラウに似た仔になれば綺麗で格好いい仔になるだろうなって想像してるんだけど」 「そうか、どちらにしても楽しみだな」 「でも、もし群を出ることになったら、仔どもいたらマズくない?」 「大丈夫だ、3人くらい軽く抱えて走れる」 「…うん、ありがとうラウ」 オレと赤ちゃんとシィ… シィのこともちゃんと考えてくれてる。 「いや、ありがとうは俺の方だ、獣人の俺とツガイになってくれて、不安だっただろう」 「ん、でもオレの運命のひとは絶対ラウだから…他は考えたことないよ、オレ、初めて好きになったのも、初めてキスしたのも、初めて身体を預けたのもラウだから、Ωなのに本当に幸せだと思う、ツガイになってくれてありがとラウ」 そう微笑む顔が可愛すぎて… 「アサトッ」 俺だけのアサト。 独占欲という名の甘い蜜。 優しく唇を奪う。 「ラウっ」 「可愛すぎる、俺もこんなに熱くなれるのはアサトだけだ、絶対離さない」 抱きしめると同時に、ナカに在るラウの性器がググッと胎内を押し広げるように大きくなるのが分かる… 「んっ、嬉しい、ハァ」 ラウが小さく腰を揺らすと、繋がっている場所がぐちゅっと淫らな音を立てる。 「んっ、ァ!」 ゾクゾクっと感じて抑えられず、甘い声が零れる。 「アサト…」 「…はぁ、もっと欲しい、ラウが欲しいッ」 ツガイになったからか、もっともっとラウと重なりたい、ラウの精子が欲しくて仕方ない。 「俺もアサトを孕ませたいッ」 ふんわりと首筋から漂う甘いフェロモンの香りが…ラウだけを誘う。 「好き、ラウっ」 「アサトッ」 再び精を盛り返したラウに骨の髄まで愛され尽くされて… その日あった恐怖の出来事を頭の奥底へと追いやってくれた…。 その獣人らしい逞しく、柔らかな毛並みのラウに包まれ安心して眠りについたのだった。 この夜、獣人族の(おさ)ラウ、クロフォースとツガイになった。 24時間以内には完全にラウの仔を身籠れる身体へ変化する。 ようやくラウだけのものになれた。 異種間交配で仔が出来る確率は通常よりは低くなるというけれど… いつでもラウの仔を身籠りたいと思ってる。 諸々の問題はこれからゆっくり解決していくつもり。 不安はあるけど、ラウとシィが居ればなんとかなる気がする。 今はこの幸せを噛みしめて、明日からの日々に希望を持ってラウと共に生きていきたいと思うのだった。

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