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38《新たな朝》
アサトの小屋で夜を明かしたラウ。
夜が明けて、清々しい朝日が差し込んできた。
すやすや眠るアサトの姿をみると幸せな気分に浸れる。
ツガイとなって、これからはずっと一緒に過ごせるから…
しばらくして、アサトが目をこすりながら目を覚ます。
「んー…」
「おはようアサト」
ペロリと頬を舐めて囁く。
「ふふ、おはよ、ラウ」
目を覚まして、すぐそばにラウがいる幸せを噛みしめて、そのふさふさの体毛に触れながら挨拶を返す。
「朝飯はシィが起きたら一緒に食べよう」
可愛らしい仕草と笑顔に癒されて、アサトを匂いながら優しく髪を撫でる。
「うん」
アサトの脇ですやすやと眠っているシィを見ながら頷く。
「アサトは俺の伴侶だ、もう、ここには住まなくていい、食事が済んだら俺の住処に移ろう」
「ん、ありがと」
ラウのふさふさの毛に顔を埋め、匂いを嗅ぐ。ケモノらしい匂いだけど不思議と嫌な気持ちはしない、むしろ嗅ぐと安心するいい匂いだ。
ツガイとなって、無差別に発情することがなくなって、発情特有の重だるい感覚もなくなっていた。
性的興奮状態になると、ラウだけを誘うフェロモンがでて、ツガイとの行為を誘発させるようになる。
だから、むやみに興奮しないように気をつけないと…。
それでも、ラウのそばにいられることは、凄く心地よくてなかなか離れたくなくて…
しばらくラウのそばで寝転びながら朝のひと時を過ごす。
会話が一区切りついて、ラウは少し言い澱みながら切り出す。
「レイのことだが…」
「……」
「今回のこと全部、レイが企てたことだ、アサトが耐えられないのなら、レイを群から追放することもできる」
あれだけのことをしたのだから、弟だとしてもうやむやには出来ない。
「……、ううん、その必要はないよ。レイはお前が大好きなだけなんだ、」
Ωの身体で追放なんかされたら、絶対レイは不幸になってしまう。
レイはラウが大好きだっただけ、オレとおんなじ。
レイからラウを取ってしまって、それだけでもレイは辛いはずだから…
「けれど、お前をこんな目に遭わせて…」
「正直、レイにはちょっとトラウマだけど、オレの義兄弟になるんだから、仲良くなれる努力をするよ、レイはラウの大切な弟だから」
オレたちが来なければ…そう思ってしまうのは仕方ないこと…
実際にオレが居なければ、今もラウの1番はレイだったんだろうから…
「アサト…ありがとう、無理はするなよ」
華奢なアサトの身体を優しく抱き寄せぺろぺろと頬を舐める。
「うん、」
柔らかなフサフサの青銀毛に、身体を包み込んでくれるような大きな尻尾、その温かさに安心する。
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