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39《長の番》

そうして、シィも目を覚まし、三人で食事処の洞窟へ向かう。 ラウについて洞窟へ入ると… 「ラウ様、おはようございます」 すれ違う獣人みんながラウに頭を下げて道を譲り挨拶する。 「あぁ、おはよう」 ラウは一人一人に挨拶を返している。 やっぱり… 「ラウはすごいな」 「ん?」 「さすが(おさ)だ」 そんな凄いひとのツガイとなったこと、今更だけど、気持ちが引き締まる思いになる。 「いや、」 ラウは何か答えようと口を動かすが、そこへ… 「ラウ様、おはようございます。少しお話があります」 「あぁ、おはよう、アサト少し待っていてくれ、どうした」 そう声をかけ、歩みを止めて話を聞くラウ。 「ラウ様、うちの娘が本日、初めての発情期をむかえまして、ラウ様に初めてを手ほどきいただきたいと願っているのですが…」 「すまんな、俺はもうフリーではなくなったんだ、お前の仔にも断りを伝えておいてくれ」 ラウはあっさりと断っている。 「そ、うですか…すみませんでした」 驚いたように呟いたあと、深々と頭を下げる獣人。 「すまない、アサト待たせたな」 「ううん。オレ、ラウと本当にツガイになって良かったのかな…」 「アサト、もちろんだ」 「う…ん」 ラウのことを狙っていたのはレイだけじゃない、年頃の仔はみんなラウとツガイになりたかった筈だから… 「アサト?」 初めてをラウに捧げたいってコだっている。 逆を言えば、ラウは浮気し放題ってことで… もう、そういうのは見たくないな… レイと交わっていた時の情景は今でも忘れられない。 「どうした?」 浮かない顔のアサトが気になって、屈んで窺う。 「……うん、浮気しないでな…」 「浮気?」 「違うコと交尾しないでってこと」 「アサトがいるのに、そんなこと必要ないだろう、絶対しない」 「ん、」 「アサト、俺はアサトを選んだんだ。自信を持って俺のツガイでいたらいい」 優しく抱き寄せ、力強く言葉をくれる。 「うん、そうだよな、ありがとう」 真っ直ぐなその瞳はオレだけを見ていて… 小さく頷き微笑み返す。 ラウは信じられる気がするから。

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