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40《朝のひととき》
そうして三人は久しぶりに朝食を囲む。
「うん、柔らかいし、温かいし…おいしい」
ラウ用の食事は、ちゃんと温めてあるスープや焼いてあるお肉。
今までは干し肉や冷えた食べ物しか配給されなかった為、久々の温かい食事に感動する。
シィとともに夢中で食べてしまう。
「……」
それを微笑ましく見つめるラウ。
「ん?何?」
それに気づいて首を傾げる。
「いや、アサトが食べているところを久しぶりに見たから、しっかり食べたらいい」
「ありがとう、久しぶりに柔らかな肉を食べれたよ、めちゃくちゃ美味しい」
「あぁ、良かった、これからは毎日食べたらいいから」
そっと大きな手で、アサトの赤毛を撫でる。
「うん、ありがとう」
優しいラウにちょっとはにかみながら、お礼を言う。
それから、食事を終えて、久しぶりにラウの住処の小屋に行く。広々としていて過ごしやすい。
ラウはいつも通り群 の仲間を引き連れ狩に出かけて行った。
オレも一緒に行きたかったけど、ツガイになったばかりで身体が本調子じゃないはずだからと留守番することに。
何かあれば遠吠えで呼んでくれと言われたけど、遠吠えなんかしたことがないから上手く出来るか分からない、いざとなったらシィに呼んでもらおう。時々、ラウの遠吠えの真似をしたりしているから。
明日からは狩に同行させてもらうつもり。
あれからレイの姿は見ていない…
心配だけど、発情が治るまでは刺激しない方がいいと思って時を待っている。
レイとの話し合いは避けて通れないから。
それから数日が経った夕方。
狩を終えて、レイの発情が治まったタイミングでレイと話すため、一人で会いに行くことにした。
正直、レイにされたことを思うと、怖い気持ちにもなるけれど…レイをどうしても嫌いにはなれない。
レイはラウのたった一人の弟だから、できれば和解したいから。
「レイ!」
レイの小屋へ行き、下から声をかける。
「ッ!」
「レイ、オレはラウ様とツガイになったよ」
気配がして、そのまま話し始める。
「人間ッ…!」
ザザッと小屋から降りてきて、フーッと怒りをあらわにして牙を剥くレイ。
「オレを殺す?」
そんなレイに、できるだけ冷静に語りかける。
「ッ…お前なんか、簡単に殺せるのに」
「うん…それでも、レイは殺さなかったよな、ありがとう」
嫌なら、初日に殺すことだって出来た、怪我を負わせて、森に捨てることだって…
けどレイはしなかった。
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