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43《助け合う心》

「第一に、アサトは人間のΩだが、俺たちは愛し合ってツガイとなった、アサト、そして連れのシィを傷つける者は誰であろうと許さない。それは覚えておいてくれ」 凛とした低音の声で、皆に忠告する。 そして… 「俺は、皆から見たら変わり者に見えるかもしれない、人間を助けたり、半獣人を手当てしたり…」 「けれど、弱っている者を助けることがそんなにおかしな事だろうか?」 「見た目が違うだけで、話せばアサトもいい奴だった、話し合う事をせず、見た目で迫害するのは昔の人間がしたことと同じこと」 「人間のΩたちは今も人間に迫害されているという、人間の世界で暮らせない人間のΩたちは、俺たちまでも拒絶すれば生きる場所がなくなってしまう」 「俺たちが暮らしているこの縄張りは、人間の住む世界に一番近い場所にある、だから俺たちだけでも固定された意識を変えていきたいと思う」 「先の人間との戦争は終結からすでに100年以上が経って、森を汚した当事者の人間はもう生きていない」 「人間全部を好きになれとは言わない、正直Ωを迫害している人間は誇れたものじゃない。ただ、人間にもいい奴はいる、それを理解して種族に関係なく困った者に手を差し伸べれられる(むれ)に俺はしたいと思っている」 「俺の方針が理解できない者は、これから一週間のうちに申し出てくれ、南に縄張りを置く、ロザの(むれ)に移してもらえるよう交渉する」 「(むれ)に残るなら、俺の方針を守って欲しい」 「もし、(むれ)の半数以上が俺について来れないならば、俺はアサトとこの(むれ)を出て行く、この(むれ)の新たな(おさ)は儀式を行い決闘で決めることとする」 「俺の話は以上だ」 「周知!」 『はい!!』 話を聞いていた全員が返事を返し、ひとりの遠吠えで皆は解散して行った。

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