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59《陣痛?》

しばらく、横になって過ごしていると、急に腰に響くような下腹部の痛みが… 「ッ…痛たた、」 「うー、っ、これ陣痛?」 全てが初めてで判断もできない… たしか、陣痛なら間隔があるって言ってたから、少し様子見なきゃ… 「落ち着いて、落ち着いて…」 そんなにすぐには産まれないって言ってたし… 今すぐラウを呼びたい気持ちを抑えて下腹部をさすりながら時が過ぎるのを待つ。 「ハァ、ハァ…ラウ、もう帰ってくるかな…」 しばらくして強い痛みは治まった。ラウがいないと心細くて… ラウの柔らかな抜け毛に頭を埋め、早く帰ってきて欲しいと願いながら帰りを待つ。 「ッ…!きた…、ッやっぱり陣痛?」 しばらく経って、重い痛みが再びアサトを襲う。 「ハァ、ハァ…痛い、」 横でシィが寝ているから出来るだけ声を出さないように我慢していたが…だんだんと痛みが強くなってくる。 痛みが来るたび、色んな体勢になって、少しでも楽に過ごせないか試してみるが、どんな体勢になっても痛いものは痛い… 出産の大変さを改めて実感するアサト。 「ぅ、…ァア!痛ッ」 「ッ!アサト??」 アサトの呻き声に、シィがハッと目を覚ます。 「ハァ、ッ、シィ…」 汗だくで苦しむアサトを見て、シィも慌てて周りをうろうろしながら、時おりぺろぺろと舐めてくる。 「ッ、あー、もう無理ッ、シィ、ラウ呼んでッ」 もう少ししたら帰ってくる時間だから待とうかと思ったけど、痛過ぎてそんな余裕はなくなる。 「…ラウ?」 「ハァ、お願いッ」 「うん!」 シィは小屋の外に出て、空を見上げ… 「らうーーーっ!!」 大きな声でラウを呼びながら遠吠えする。 するとすぐ… 「オォーーン!!」 伸びのある綺麗な遠吠えが返ってきた。 「ハァ、ハァ…ラウ」 ラウの遠吠え、それを聞いて少し安心するアサト。

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