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第27話

単純にもクラウスに頼られた事が嬉しくて、そのままクラウスを見送ってしまった。 眠りが浅く、抱っこしていないと起きてしまう赤ちゃんを抱いたまま部屋の中を歩き回っていた。 クラウスは強い。 精霊達もついてる。 それでも時間が立てば立つ程、心配になって来る。 「拓斗様、親が落ち着いていないと子に伝わりますよ。クラウス様なら大丈夫ですよ。やる気がなかっただけでお強い方ですから」 「別に心配なんて……信用してるし……」 でも赤ちゃんの不機嫌な理由は俺なのか……。 気持ちを入れ替える為に抱っこしたままテラスへ出た。 ずっと見下ろしていた街の風景は変わりなかった。 綺麗に整備された街並み……緑も水も豊富に流れている。 「ミナ……早く大きくなって、クラウスのこの国を守ってね……」 腕の中の小さな体を抱きしめた時、木々の間から馬車の姿が見え隠れしているのが見えた。 クラウスだ!帰って来た!! いそいそと玄関まで出迎えに移動した。 ・・・・・・ 「君は……」 玄関先につけられた馬車から降りてきたクラウスに連れられて降りてきた人物に驚いた。 可哀想なぐらい顔面蒼白でガタガタ震えていたのは……初めてクラウスとお出掛けした日……あの指輪を売っていた少年だった。 「何で?」 「ちゃんと家人に許可を取って連れて来たぞ?拓斗を目覚めさせてくれた指輪だからな……もう一度作って貰おうと探し出した」 クラウスに背中を叩かれ少年の背筋がビクッと伸び上がった。 「おっ!王妃様にお気に召して頂けたという事でっ!!一生懸命作らさせて頂きますっ!!」 勢い良く頭を下げる姿は可哀想で同情した。 いきなり王族に拉致られたらビビるよな……。 緊張に震える指先ながら、少年は器用に木を削っていく。 時々俺の指に嵌めては微調整を繰り返していく。 土台が出来ると、塗装は時間が掛かるという事で取り付けるガラス玉を選び少年はセルリアさんと街へ帰って行った。 数日後……。 届けられた指輪は綺麗な箱に入れられ、木でガラス玉だけどとても立派に見えた。 荒削りだった前の物に比べ、とても丁寧に仕上げられた指輪。 緊張していた少年の姿を思い出して笑みがこぼれる。 「ありがとう……クラウスの俺が嵌めても良い?」 黒い指輪を手に持ちクラウスの手を取った。 心の中で一人……誓いの言葉を思い起こし、変わらぬ愛を誓いながらクラウスの指へと指輪を通した。 長い指に艶のある黒い指輪が光る。 クラウスは満足そうに指輪を眺めて、金色の指輪を持ち上げた。 「指輪を相手にはめるのが拓斗の世界では普通なのか?なら俺も拓斗につけたい」 左手を握られて薬指に指輪が収まった。 丁寧に、丁寧に作ってくれたんだろう……金色に輝いている。 見せて貰った中で一番深く澄んでいた緑色のガラス玉。 本当にクラウスそのものみたい。 嬉しくて思わず指輪に頬ずりすると手首を掴まれる。 「……指輪ばかり狡い」 ……は? もしかして、もしかして指輪に嫉妬!? 何それ、可愛すぎる……。 「クラウス変わり過ぎ……あんなにあんなだったのに……」 これ以上、色んな顔を見せられたら惚れすぎて困る。 「心をくれたのは拓斗だ……受け止めてくれ」 唇を寄せあい……愛を誓い合う様に深く口付けを交わしあった。

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