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第4話 αとΩ

 まさか、こんなにすぐ来るなんて。春樹は学校の廊下で蹲り、自身の身体を抱き締めた。  それは、病院に行くと決めた日だった。春樹に突如、発情期が訪れた。  春樹の周りには、ヨダレを垂らしたαが群がり、春樹に覆いかぶさって来る。 「や……だ……離れろ……っ」  そう言葉では言っても、αの存在を拒めるほどの力は春樹には無かった。これがαとΩの力なのかと、春樹は恐怖感を抱く。  でも、甘い香りが近付くのに気付く。  この男に抱かれたい。この男しかいない。早く、早く番になりたい。そう、思わせるほどの強い匂いだ。 「オラッ! どけっつってんだッ! 春樹から離れろ!」  その匂いには覚えがある。やっぱり、この男だった。 「春樹! 大丈夫か!?」 「桃矢……」  桃矢はΩの春樹のフェロモンに興奮し、息が荒くなっていたが、理性を保ち、春樹を抱き抱えてくれた。  そして、空いている教室へと走って連れて行ってくれた。

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