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第14話
「スーパー獣人 とか言ってるのはお前だけだろ。いつも研究ばかりして仕事手伝ってくれないって、一部の仲間から苦情が来てるんだが」
「クレーマーの小言はスルーするのが一番だよ。ちなみにこの薬は、僕が開発したオメガ用の避妊薬ね。ヒート抑制剤も入ってるから、しばらくヒートも起こらなくなる。身体の負担も少ないし、下手に堕ろすより断然いいよ~」
「……わかった。ありがとう」
由羅は両腕でしっかりと瓢箪を受け取った。思った以上にずしりとした重さがあった。
「あ、でもひとつ注意しとくね~」
と、ロイドが人差し指を振る。
「薬を飲み始めたら、半年くらいは激しい運動とか大きな怪我とかしちゃダメだよ? 身体に負担かかって、二度と妊娠できなくなるかもしれないからね。オメガの妊娠能力は貴重だから大事にしなきゃ。ねー、ライアル?」
「お前に言われるまでもない。由羅は俺が責任持って守る。いずれ番 になるんだから、それが当たり前だ」
「はっ……?」
当たり前のように「番 」と言われ、由羅は小さく口を開けた。
もちろん由羅も番の意味くらいはわかる。正式に結ばれた夫婦のことだろう。しかし、会ったばかりのライアルと番になる前提で話が進められているのは少々おかしくないだろうか。まあ断る理由もないのだが……。
「あの……番ってどういうことなんだ?」
「……あ、悪い。そこんとこも詳しく話してなかったな……」
「なに、ライアル。話してないことばっかりじゃん。相変わらず後手後手だねぇ」
「うるせぇよ。一気に話したら混乱すると思ったんだ」
決まりが悪そうに髪を掻き、由羅を見るライアル。どう説明しようか、考えているようだった。
「今の由羅には酷な話だと思うんだが……まあ、あれだ。単刀直入に言うと子作りのためだよ。うちの里では、ボスを務めるのはアルファが望ましいとされててさ……」
アルファ――三つの中で最も知能が高く、身体能力も優れ、集団を率いる才があると言われている性である。ライアルはそのアルファであるらしい。
「それで俺も、なるべくたくさん子供を作ることを推奨されているんだが……だからと言って、手当たり次第に相手を孕ませればいいってわけでもなくてな」
「…………」
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