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第25話

 由羅は改めて頭上を見た。枝葉の隙間から澄んだ青空が見えた。風も爽やかで潮の香りが微かに混じっている。海が近いのかもしれない。 「ここはどこなんだ……?」 「俺たちの新しい理想郷(ユートピア)だよ。もう少し怪我の具合がよくなったら、島全体を案内してやるからな」 「島……?」 「ああ。人間たちは誰も寄り付かない島だ。我ながらいい場所を見つけたと思うよ。引っ越しするのは大変だったけどな」  なるほど、道理で潮の香りがすると思った。 「とはいえ、島の開発はまだ進んでいなくてさ。先に引っ越しした連中がある程度整備しといてくれたんだけど、建物の建設は十分じゃないんだ。しばらくは野宿するかもしれないけど、我慢してくれ」 「……大丈夫だ、それくらい」  その時、不意に風が強くなった。ライアルがパッと顔を上げて立ち上がった。何事かと思い、由羅も両肘をついてゆっくり半身を起こした。  全長一丈(約三メートル)もありそうな大鷲が、大樹のすぐ近くに舞い降りてきた。その背には獣人(ベイン)と思しき子供が数人乗っていた。 「はい、到着~! みんな怪我はしてないね? じゃあ元気な子は大人の手伝いしに行って~!」  聞き慣れた声で流暢(りゅうちょう)に喋る大鷲。これはロイドだ。鷲の姿で次々と仲間を運んでいるのだ。 「よう、ロイド。ご苦労だったな」  ライアルが声をかけた途端、彼は(くちばし)を突き出して文句を言い始めた。 「ご苦労だったな、じゃないよ! どんだけこき使うつもりなのさ。僕はもう疲れました!」 「自称・スーパー獣人(ベイン)が情けねぇな。お前ならもっと動けるだろ?」 「キーッ! これだから人遣いの荒いボスは嫌なんだ! いつかリコールしてやる~!」  ひとしきり立腹した後、ロイドはこちらを向いた。 「あ、由羅ちゃん目ぇ覚めた? 元気そうで安心したよ~!」 「ロイドさん……撃たれたのではなかったのか?」 「ん? 僕は大丈夫だよ。危なさそうだったから、崖から避難しただけ」 「? 落ちたのではなく?」 「そうとも言うけど、ご覧の通り、僕は鷲なんで。高いところから落ちても獣変化しちゃえば大丈夫なんだよねぇ~。なんだかんだ、獣人(ベイン)では鳥類が最強だな~。理想郷(ユートピア)までひとっ飛びだしさ♪」 「そ、そう……」

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