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第26話

 誇らしげに胸を張るロイド。心配して損した気もするが、とにかく無事でよかった。ここまで連れてきてくれた彼に感謝しなくては。  バサッと翼を(ひるがえ)し、ロイドがくるりと背を向ける。 「じゃ、僕はもう一仕事してきますかね。ライアルも早く仮設の寝床作らないと、初夜が星の下になっちゃうぞ」 「わぁってるよ。そういう言い方すんな」  アカンベーと舌を出し、ロイドは飛び去って行った。  ライアルが苦笑しつつ、隣に並んでくる。そしてごろりと寝転んできた。 「ま、ここだったら星の下で交わってもよさそうだけどな。由羅さえよければ、この木の上に隠れ家的な寝所を作るのもアリだぜ?」 「……私は……」 「そういや、薬飲み始めてからもう半年以上経ってるよな。怪我が治って体調がよくなったら祝言あげようか」 「…………」  由羅は無言で目を逸らした。頷きたかったのに頷けなかった。ひどく胸が痛み、掻き毟るように自分の胸元を掴んだ。  ライアルのことは好きだ。誰よりも強く、誰よりも優しい男である。十分に心惹かれる存在だし、彼の(つがい)になることに一切の不安はなかった。  けれど……。 「ちょ、おい! 何で泣いてるんだ!?」  動揺したライアルが飛び起きる。  由羅だってこんなところで泣くつもりはなかった。彼を困惑させるつもりなどなかった。けれど今は涙があふれて止まらない。心の底から悲しみが噴き出し、胸が苦しくて潰れそうだった。 「なあ、どうしたんだよ……。俺、何か悪いこと言っちまったのか? だったら謝るからさ」 「……違うんだ……」  由羅は重い口を開いた。今更言っても遅すぎるかもしれないが、これ以上黙っていられなかった。 「謝るべきなのは、私の方だ……」 「は? 由羅が? お前は何も悪いことしてないだろ」  静かに首を横に振る。大粒の涙がパラパラと服の上にこぼれた。 「私はもう、子を作れないかもしれない……」 「は? どういうことだ?」

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