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第29話*

 もじもじと視線を泳がせる。この半年間一度も起こらなかった発情期(ヒート)が、何故か祝言の日にやってきてしまったのだ。おかげで朝から身体が疼きっぱなしだった。  幸い、祝言は島の外で行ったから匂いが拡散していたが、隠れ家のような狭いところに来るとその強さは顕著だった。 「ああ、そういうことか。ベストタイミングじゃないか」  途端、仰向けに寝台に押し倒される。ライアルがこちらに覆い被さり、顔を覗き込んできた。  陽が落ちているので明かりはほとんどない。が、代わりに青白い月光が天から降り注いでいた。それがライアルの金髪に反射し、淡く輝いて見えた。とても美しかった。  やや荒っぽい息遣いで彼が言う。 「考えてみりゃ、半年間もお預け食らってたんだもんな。今日はちょっと羽目外しちまうかもしれん。それでもいいか?」 「私も……多分、はしたないことになると思う。どうか幻滅しないでくれ……」 「するわけないだろ。どんなお前でも大歓迎だよ」  ライアルがふっと微笑んだ。その微笑みからは、独特の男らしさが滲んでいた。それで柄にもなく胸が高鳴った。  薄衣の合わせ目に手を這わされる。片手で腰紐を解かれ、そっと左右に開かれた。荒い息遣いのまま、胸元に顔を埋められる。 「……すげぇいい匂い。確かにこれは興奮するわ」  甘い香りを放つ由羅の肉体に、ライアルがむしゃぶりついてくる。繊細な箇所に舌を這わせ、指先でこねくり回し、熱い呼気を吹きかけてくる。  由羅自身もしっとりと全身が濡れてきて、身体の中がじんじん疼いてきた。隘路(あいろ)がさざめき、愛液を分泌し始め、大事なところが潤んでいく。直腸の奥に潜んでいる子宮がきゅうっと縮こまるのを感じた。身体で、本能で、愛しい男を欲しているのがわかる。 「……!」  ライアルが手を由羅の背中に回し、そろりと臀部を撫でてくる。指先でつつ……と尻の割れ目を辿り、魅惑の中心を探り当てた。既に十分すぎるくらい濡れているのは由羅も感じていて、入口を少しつつかれただけでとろりとした体液が沁み出してきた。 「……いい反応だな。何もしなくてもいいくらいだ」 「ああ、そうだな……」  小さく頷いた途端、ひょいと両脚を抱え上げられる。尻にライアルのものが当たり、反射的に身体の芯が疼いた。先端が濡れ、雄々しく反り返り、肉の凶器と化しているのが見なくてもわかる。彼の興奮が手に取るようにわかる。

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