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それは違う9※

付き合い始めはああじゃなかった気がするのだ。もっと優しかったし、こちらを気遣ってくれた。一緒にいて楽しかったし、心から寛げた。 幸せだったのだ。 恋の始まりの幻想を、自分はまだ引きずっている。分かっていても、そう簡単には割り切れない。 まだ効き目の消えない媚薬の熱が、身体の奥をじわじわと冒している。それはまるで、自分にとっての修平の存在そのものだ。幸せだった恋の名残りの未練がましい熱は、自分の心をじわじわと冒し続けているのだから。 もう何度目かも分からない熱い吐息が、口から勝手に漏れる。ダメだ。仕事に集中しなければ。また大きなミスをしてしまう。 ……洗面所に行ってこよう。 まだ腔で何かが蠢いているような、ムズムズした感覚が耐えられない。さっき一度、トイレの個室で抜いたのに。また性懲りもなく、下腹に熱が溜まってきている。 拓斗は諦めて、席を立った。 もうすぐ、夕方に予定がずれ込んだ下請けの社長の来社時刻だ。それまでに来月発注予定のおおまかな一覧表を作ってしまわないと。 目をあげると、デスクパソコンの間から、隣の島の修平が見えた。ちらっと目が合い、ドキッとしたが、彼はまったく素知らぬ顔でまた視線を下に向けた。 「……っ、…っぅ、ん……」 事務所から一番遠い洗面所の奥の個室に入り、下半身裸になって便座を跨ぐ。拓斗は自分の指を尻の穴に突っ込み、かき回した。 トロトロとまだ溢れてくるのは、修平のソレじゃない。彼はしっかりゴムを付けていた。 カプセルが溶けて溢れた媚薬入りのローション。これがいつまでも自分の身体を犯している。 拓斗は荒くなっていく息を必死で押し殺しながら、指で何度も掻き出した。 いや、掻き出そうとしているのだが、まるでこれでは後ろを使った自慰行為みたいだ。 指が当たる度にビリビリと甘く痺れて、腰が勝手に揺れる。後ろに刺激されてペニスが痛いほど勃ちあがってきた。 堪らなくなってきて、もう一方の手で前の昂りを握り締め扱く。気持ちよくて声が出そうだ。でも堪えなくては。個室は上と下に隙間がある。誰か洗面所に入ってきたら、何をしているかバレバレだ。 「……ん、ふ……ぅ…ん、ん、んぅ……っ、」 せり上がってくる強烈な快感に、拓斗は震えながら身を捩った。

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