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それは違う18

おにぎりとおでんとサラダ。独りで食べれば侘しい気分になるコンビニの出来合いものばかりの夕食だ。 でも、久しぶりに修平と一緒に食べるからか、すごく美味しく感じた。 人の味覚なんて不思議なものだ。気分次第で不味くもなるし美味しくもなる。 「美味かっただろう?じゃがいものおでん」 「うん。初めて食べたけど、もっちりしてで美味しかった」 修平は上機嫌で箸を置くと、グラスのビールを煽った。座布団を並べて横に座り、腕をぴったりと寄せている修平を、そっと横目で窺い見る。 昼間の資料室でのことは、幻だったのかと思えるほど、修平は別人のように優しい。 視線に気づいたのか、修平がこっちを見た。目が合って、ドキンとして慌てて逸らそうとすると、手が伸びてきて顎を掴まれた。そのまま、顔が近づいてきて、そっとキスが降りてくる。 優しく唇を啄まれて、拓斗は小さく身を捩った。 嬉しい。修平のこんな甘いキスは久しぶりだ。身体の向きを変えて腕にしがみつき、本格的に口づけに応えようとしたら、唇を離された。ハッと目を開けると、修平がじっとこちらを見ている。 「別れてから、他の奴と寝た?」 ヒヤリとする声音だ。拓斗は首を横に振った。 「寝てない。誰とも」 「佐々木くんは?あの人、今日、あなたのネクタイしてたよね?」 拓斗は目を見開いた。 どうして分かるのだろう。岩館といい修平といい、あれが自分のネクタイだと。 「昨夜、泊まった?あなたの所に」 拓斗は背筋にヒヤリとしたものを感じながら、瞳を揺らして 「泊まった。飲みに行って、佐々木さん酔っ払ってしまって」 嘘は許さないと、修平の目が言っている。 でも嘘をつく気なんかない。 だって、酔った先輩をただ泊めただけだ。何もなかったのだ、本当に。 「ふーん。で、抱かれた?」 「寝てない、本当に。ただ泊めただけ」 「どうして?佐々木くんの方は、あなたにその気あるでしょ?」 だからどうして分かるのだ。岩館といい修平といい。 「あの人にその気あるかは知らないけど、俺にはその気、ないから。だから、寝ない。抱かれたり、しない」 声が震えそうになりながら、でも拓斗はキッパリと答えた。心からそう思っているからだ。 修平がちょっと驚いたように目を見張った。 「そうか。抱かれてないのか。岩館くんにも?」 拓斗はだんだん腹が立ってきた。 どうしてここで、今度は岩館の名前が出てくるのだ。

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