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トライアングル5

拓斗は咄嗟に目を伏せた。 気まずくて顔なんか合わせられるわけがない。 「佐々木くん、泊まったのか?昨夜」 修平の問いかけに無言で首を横に振った。 「別に、俺に嘘はつかなくていい」 拓斗はバッと顔をあげた。 「嘘なんか!…………ついてない。佐々木さんがさっき言っただろ?突然、サンドイッチと野菜ジュース持って、来てくれたんだよ」 修平はまた黙り込んだ。 今度は下手に目が逸らせなくなって、拓斗は頬が引き攣りそうになるのを必死に堪えた。 修平がすいっと手をあげ、こちらの身体を指差し 「あなた、いつもそんな格好で客を部屋に入れるのか」 ご指摘はごもっともだ。自分でもそう思う。 でも、これだって理由があるのだ。言い訳にしかならないけど。 「玄関の、ベルの音で、目が覚めたんだ。寝ぼけてて、修平が来たんだと思って、」 ちょっと泣きそうになりながら、それでも言い訳した。 今考えたら、佐々木に何と言われても着替えるべきだった。 後悔ってつくづく、先に立たずだ。 修平が少し目を見開いた。 「……ああ。なるほど。俺だと思ったのか」 「うん」 「で?俺は中に入ってもいいのか?」 修平の言葉に、拓斗は小さく息を呑む。 怒って帰ってしまうと思って、怯えていた。 「あ、も、もちろん、いいよ」 後退りながら、修平を中へと招き入れる。 玄関のドアが閉まると、唐突に抱き締められた。思わず身構えてしまってビクッとなる。 「言ったでしょ。あなた、無防備過ぎる。その気がないならそんな格好で、部屋で男と2人きりになるな」 修平の言葉が嬉しくて、涙が滲みそうになった。 「うん……ごめんなさい」 おずおずと顔をあげると、修平の目がさっきより優しい。誤解されて、もうおしまいだと思っていたから、ホッとしすぎて足の力が抜けそうだ。 「佐々木くんにキスされた?」 「されてない」 「そっか」 修平は頬に手のひらをあててきて、親指でそっと目元を拭ってくれた。その手つきが優しくて、余計に涙が滲んでしまう。 顔を覗き込まれ、下からすくい上げるようにキスされた。拓斗は修平のシャツをぎゅっと握って、唇をうっすらと開く。とんとんっと舌でつつかれて、誘われるままに唇を更に開き舌をちょこっと出した。熱い粘膜が絡みついてきて、じゅ…っと吸われる。 「……ん…っ」

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