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トライアングル16※

「そろそろ道に戻るよ」 修平はゴムを外して後始末をしてくれると、もうお終いとでも言うように、胸の尖りをちゅっと吸った。唐突な乳首への甘い刺激に「あんっ」と甘えた声が出る。ピクンっと身体が跳ねてしまって、恥ずかしさに拓斗が思わず顔を手で隠すと、その手をぐいっと引き剥がされ 「いい声だ。まだちょっとかかるからね。横になっているといい」 修平は車を発進させた。ガタゴトと大きく揺れた後、街道に出たのか車はまたスムーズに目的地に向かって走り始める。 拓斗はしばらくの間、車の天井を見つめて放心していたが、やがてのろのろと身体を起こした。レバーを探ってシートを元の位置に戻す。 「少しは抜けた?まだ疼いてる?」 拓斗は火照った頬を手で押さえながら、修平を横目で睨んだ。 「こんな、とこで、あんな……こと、」 「だってあなた、エロい顔してるから。身体が疼いたままで紘海に会うの、嫌でしょ?」 「修平が、あんなの、使うから、」 「嫌だった?じゃあ、もうしない」 修平の言葉にドキッとした。 しないというのはセックスのことだろうか。それとも、もうあの薬は使わないってことか。 拓斗は修平から顔を背け、肌蹴たままだったシャツのボタンを掛け直した。 気持ちよかったのだ。本当は嬉しかった。 ただちょっと、恥ずかしかったのだ。 明るい野外で自分だけ乱れてしまうことが。 だから照れ隠しに拗ねてみただけなのに。 今日はずっと、修平は今までになくご機嫌な様子で、優しかったし自分からいろいろ話しかけてくれた。 付き合って半年過ぎた辺りから、修平とこんなに楽しく会話をした記憶がない。 だから本当は、すごく嬉しかったのだ。 車内はシン……と静まり返っている。 この沈黙が嫌で何か話したいのに、何を言っていいか分からない。せつなくて、なんだか涙が滲んできた。 「夢……」 唐突に修平が口を開いた。 「え……?」 「あなた、夢を見てたでしょ?さっき」 拓斗は修平の顔を見つめた。修平は前を見て運転しながら 「寝言……かな。なんかむにゃむにゃ言ってた。言葉はよく聞き取れなかったけど」 「あ……うん、見てた。すごい、変な夢」 「時々、可愛い声で喘いでた。聞いててちょっとこっちまであてられそうな声だった」 じわじわと頬が熱くなる。 そうだ。さっきすごくえっちな夢を見ていたのだ。もう内容までは覚えていないけれど。 「うん……なんか、身体がムズムズしてたからかな。えっちしてる夢、見てたみたい」 恥ずかしくて声が掠れてしまう。

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