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トライアングル26

紘海に案内された部屋はたしかに広かった。しかも、この建物の一風変わった造りのせいか、天井が面白い形状になっている。 「何か必要なものがあったら教えて。じゃ、ごゆっくり」 「紘海。俺らはここで少しゆっくりしてるから、おまえは翡翠の様子、見ててやってくれ」 「了解」 ひらひらと手を振り部屋を出かけた紘海が、立ち止まって振り返る。 「あ、夕飯はどうする?また何か出前、とる?」 「そうだな。駅前の吉四六に拓斗を連れて行きたかったんだが……。翡翠を置いていくのは無理か」 「そうだね。じゃ、俺の方で何か考えとくよ。またね、拓斗くん」 「あ、はい。ありがとうございます」 紘海は微笑んで片目を瞑ると、部屋を出て行った。拓斗はホっとしてそっとため息をつく。 「俺の言った意味、わかっただろ」 「うん。ちょっと……不思議な人だ。紘海さん」 「子どもの頃からだ。あいつは」 拓斗は改めて部屋の中を見回した。 「この部屋もすごく変わってる。天井、向こうの方はあんなに低い」 「あそこの上は天窓だ。夜は星空見ながら眠れるんだ」 「へえ……すごい」 拓斗は好奇心に抗えず、部屋の奥に行ってみた。カーブを描きながら天井が斜めに流れて床に繋がっている。部屋全体の床は板張りだが、この奥のスペースだけ他から10cmほど高く、8畳ほどの畳張りになっていて布団が2組敷いてある。拓斗は畳の上にあがって、少し屈みながら上を見上げた。 「ほんとだ。大きな窓」 修平もやってきて、畳の上にドサッと腰をおろす。 「おいで」 小さく呟き、人差し指をくいくいっとさせる修平を見て、拓斗はドキッとした。無意識に部屋のドアをちらっと見てから、おずおずと修平の側に歩み寄る。 修平の手が伸びてきて、手首を掴まれグイッと引っ張られた。そのまま彼の上に覆い被さるようにして抱きつく。 「またちょっと変になってるでしょ、あなた」 耳に直接息を吹き込まれ、低い声で囁かれて、拓斗はぷるぷるっと震えた。 「や。変って……」 「顔、赤い。目がとろんとしてる。疼くの?身体」 次々に耳に吐息ごと囁かれ、じわじわと身体が熱を帯びていく。 「だめ。修平、ここは」 「大丈夫。紘海は来ない。2人だけだ」 身体を抱き締めている修平の手が動いて、さわさわと腰の辺りを撫でる。拓斗はピクンっと震えて背中を反り返らせた。 修平の吐息が、声が、指の感触が、気持ちいい。

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