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トライアングル58※

「動ける?」 目元に吐息を吹きかけられ囁かれて、拓斗はいやいや目を開けた。 便座に腰掛けた修平を跨ぐようにして、子どもみたいに抱きついたまま、少しの間意識が飛んでいたらしい。 「ん……。だるい」 なんだか呂律が回らない。 ぼんやりと見上げると、修平は苦笑して 「あなた……まだエロい顔してる。そんな顔して外歩いてると、襲われるよ?」 「……ば……か。そんなわけ、ないから」 くくく…と喉を鳴らして笑う修平を、キッと睨みつけた。 誰のせいでこうなったと思っているんだろう。まっ昼間のショッピングモールの多機能トイレで、こんな恥ずかしいことをするなんて……。 修平はしっかり服を着込んでいるが、自分はほぼ真っ裸なのだ。靴下と靴だけ履いて、くったりと身を委ねている姿なんて、誰かに見られたら大変だ。 「…っ、あ、服、汚しちゃう…っ」 拓斗はハッとして身を起こした。 トロトロのぐずぐずになって、最後は盛大に果てた。自分の出したモノで、修平の服を汚してしまったら……。 「大丈夫。ちゃんと後始末したよ?覚えてないの?」 拓斗はじ…っと修平の目を見下ろした。 覚えていない。イったことはかろうじて記憶に残っているけれど、その後はすっぽりと抜け落ちている。 「すごく感じてたよね、あなた。ほんとスケベな身体してる。こんな所だから余計に、興奮してたんでしょ」 修平は感心したような声音で、しみじみと呟いている。その指先が剥き出しの肌をツーっと伝いながら首筋から胸に降りてきて、きゅっと乳首を摘み上げた。 「っぁ、ん」 びくびくんっと震えて声が出た。その声が馬鹿みたいに甘ったるい。 まだ身体はさっきの余韻に浸っていて、いつもより過敏になっていた。 「そんな声出して。もしかして、物足りないの?」 「っ違う」 拓斗は慌てて首を振った。 摘まれた尖りをきゅっきゅっと引っ張られ、くりくりとこね回されている。 少しの痛みの後で、ジンジンと奥に広がっていく痺れが気持ちいい。 焦って否定はしたが、堪え性のない身体だと、自分でも思う。 「ね、もう、やめて。触んないでよ」 摘んでは捏ねくり回され、甘い痺れがいく筋も駆け抜けていく。更に、腰の辺りがムズムズしてきて、拓斗は修平の手首を掴んだ。 「キリがないよね。あなたって。いつでもどこでもスイッチ入っちゃうんだから」 「だって修平がっ」 「しー。大きい声出さないよ」 ムキになって反論しかけて、拓斗はぐっと言葉を飲み込んだ。修平の言う通り、思ったよりも声が大きく響いてヒヤリとする。

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