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「……新入生も大変だよな……」 「なにが?」 「だって、なにも知らないでここに入ってくるんだろ? 絶対一回は男同士の濡れ場に遭遇するし。放課後歩き回るのまじ危険だよな」 「……忍ってこの学校に恨みでもあんの? 俺結構好きだよ? 緩いし」 そんな他愛ない話をしながら体育館に向かい、並んだところで式が始まるのを待つ。 体育館後方では吹奏楽部が音出しをしている。そして何故か吹奏楽部には小柄でかわいらしい男子が多く、顧問もかなり顔が整っているのだ。 すると、ふとその顧問と目が合う。目が合った瞬間にこっと微笑まれ、あの笑顔にどれほどの生徒が落ちたのかと思うとぞっとする。 忍も微笑で返し、小さく歓声が聞こえたのを無視して前を向いた。 忍は正直言って人気がある。 晟曰く普段はクールなのに時折見せる笑顔がたまらなくいいらしい。顔が整っている自覚は十分にあるのだが、別に笑顔は狙っているわけではない。 前に立っているまあまあ仲がいいクラスメイトと話していると、吹奏楽部の演奏が始まる。新入生が入場してきた。

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