5 / 131

[1]-5

『みなさん、初めまして。新入生代表の片谷(かたや)優都(ゆうと)です』 かなりいい声をしている。 粘着質でもなく、かといって透き通り過ぎているわけでもない。万人受けする声だ。 ──すごい恵まれてんだな…… 『僕は中学校ではかなり厳しい校則で、中々楽しむことが出来なかったのでこの高校では自由存分に高校生活を楽しみたいと思います。先輩方もとても優しそうで、これからの高校生活がとても楽しみです。気軽に声を掛けていただければ嬉しいです』 その言葉と共に王子様スマイルを炸裂させた。ハートを撃ち抜いた音が聞こえた。 あんなに顔が整っていたら人生楽しいだろうな、と上の空で彼の話を聞いていると目が合う。 今日は色んな人と目が合うなと思い見つめていると目を細められる。 思わずその顔にどきっとしてしまった。 そこから何故か心臓が猛スピードでばくばくと鼓動する。 あの新入生に高校生活を乱されそうな気がして嫌な予感しかしなかった。 *****

ともだちにシェアしよう!