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「じゃあ、人気はあるってことですか?」 「……そう、だと思うけど……君もでしょう……?」 「ふふ、そう認識して貰えてるのは嬉しいです」 「もう、君はなにが言いたいんですか……!」 「優都」 忍のくちびるに片谷の人差し指が当てられた。 それに驚いて動きを止め、目だけで片谷のことを見る。 「俺は君じゃなくて優都、ですよ」 悪戯に、秘密めいた声でそっと言われた。 こんな風に言われたら、名前を呼ばなければいけないではないか。 「……ゆう、と」 「そう。いい子ですね、先輩」 なんだ、自分は馬鹿にされているのか? しかもさりげなく添えた手で頬を撫でられた。 王子様。その言葉が脳内を埋め尽くしていく。 「……ね、忍先輩」 「なに……」 「キスしてもいいですか?」

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