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「……多分……平気な気がします」
「本当に? 今日初めて会ったのに?」
「こんな、高二にもなって嫌とか言ってられないでしょう……」
「じゃあ、してみます? キス」
さりげなく後頭部をぐっと押さえられる。これはキスする流れなんだろうな。
もうどうにでもなれ。キスの一回や二回を気にしてはいけない。それに、おっさんとするわけではないのだ。
おっさんに比べたらまだまし。
それを呪文のように唱えていく。
「……ご勝手に」
意を決してそう言い、片谷の目を見る。色素がやや薄く茶色がかった瞳がとても綺麗だ。
そのままでいると、片谷に優しく瞼を触れられる。目を閉じて、というサインだ。
その通りに目を閉じ、全く見えなくなったところで顎をくっと持ち上げられる。身長差があるのでこうした方が楽なのだろう。
少しだけ目に力を入れ、ぎゅっと目を閉じると片谷の顔が近づいた気配がした。
その次の瞬間、くちびるに柔らかいものが触れる。
たかが粘膜同士が触れるだけなのにどうしてこんなに緊張してしまうのだろうか。
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