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「……はあぁ……」 「どーした」 寮から学校までの道のりをため息を吐きながら歩いていると、後ろから晟に心配されてしまった。 晟に心配されるとは。不覚。 「いや……別に」 「そういや、昨日片谷くんとなにがあった?」 「……」 そうだった。昨日片谷に連れ去られるところをがっつり見られていたんだった。 どう説明すればいいのだろうか。 「うーん……まあ、いろいろ?」 「いろいろって、なに? そこんとこを詳しく」 「俺しつこい男嫌い」 「えっ、嫌われたくないでござる」 「じゃあこれ以上聞いてくるな」 「えー忍くんのケチ……」 そう言いながら肩を組まれた。忍の方が身長が低いため、体重が忍のほうにかかってくる。 重い、と言いながら晟の顔を遠ざけていると後ろから急に声をかけられた。 「忍先輩!」 「……げ」 この、ちょうど耳にすっと入ってくる声の持ち主は。

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