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──こっ、こいつうーーーー!!!
しかも、わざとでかい声で言いやがった。その証拠に周りにいるネコ男子らが悲鳴をあげた。
晟も口をぽかんと開けている。口を開けたいのはこっちだっつうの。
目の前にいる片谷をきっと睨みつけると、昨日やったようにくちびるに人差し指を当てた。
大勢が見ている前でなにをやっているんだ、と心の中で言う。
「……片谷」
「はい」
「あとで……ちょっと話そうか……」
「ん、いいですよ。きっと言いたいこと百個くらいあるんでしょ?」
「わかってんならこんなこと……!」
片谷への怒りを露わにしようとした瞬間、急に抱き寄せられてボタンを閉めずに片谷が羽織っていたジャケットで包まれる。目の前には学校指定の学年で色が違う、学年カラーの黒いワイシャツがある。
こんなことしたら。
「えーっ!!」
「やばいよ、あの二人。こんなとこでいちゃいちゃしてる!」
「いや、でも僕は会長と補佐推しなんだ……動ずるな!」
ネコたちが勝手に騒ぐ声が聞こえてきた。南無。
怒りを通り越して無になった忍とは反対に、片谷は勝ち誇ったように飄々とした顔をしていた。
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