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真緒が忍のことを横から抱きしめてくる。やめろ、暑い。
だが明らかに不快感を顔に出すのもどうかと思うので、真顔で真緒のことを遠ざける。
「あ、忍くん照れてる?」
「照れてないです。馬鹿」
「にしても綺麗な顔してるよねー。新入生に口説かれるのもわかる気がする」
「口説かれてないです」
「あれ? みんなが見てる正門ど真ん中で愛の告白をされてる姿を見ちゃったんだけど」
「君もいたんですか!」
平和な学校生活が乱されつつある。これは非常にまずい。
自らの黒い髪をくしゃっと握る。ていうか真緒が離してくれない。
無理やり身体を捻り、逃げようとするも中々逃れられない。頭突きでもしてやろうかと思っていると生徒会室の扉が開く。
「失礼します。遅れてしまって申し訳ありません」
「ああ、大丈夫だ」
「……っ!?」
何故ここに片谷が。しかも、真緒に抱きしめられている状況で。
真緒からそっと離れ、奥に逃げようとするも宇月に引き留められる。
「忍、お茶の用意を」
「……はい……」
──まじか……なんでここに来たんだ?
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