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「忍。わかったな?」
「……まあ」
「片谷優都。君は今年首位で合格した」
「……」
なんとなく宇月が言いたいことは想像がつく。
この学校では頭脳もそうだが見た目や家柄でも順位というものがつけられる。
忍の場合、一般家庭なのに生徒会に所属しているのは頭脳面とルックスが他の生徒に比べてずば抜けて上だったからだ。
忍は特に拒否をしなかったので生徒会に所属している。
生徒会長である宇月は学年一位の成績を常に維持している。
要するに。
「今すぐに生徒会に入れとは言わない。だが、二学期末にある生徒会選挙で是非君を推薦したい」
「推薦……?」
勧誘ではない。ただ、推薦も余程のことがないとありえないこと。
片谷は特に動じていない様子で、そういうこともあるのだと、他人事のような反応をしている。
「……えっと、宇月会長でしたっけ」
「ああ」
「それは、お断りすることは出来るんですか?」
──断る!?
この学校では、生徒会に入ることは優秀な生徒だということが認められたも同然だ。
そんなチャンスを棒に振るようなことをするとは。
「……どうしてだ?」
「うーん……なんというか、俺は生徒会に入る性格ではない気がします。生徒会に入ると色んな意味で注目されてしまいそうですし、それでしたら一生徒として楽しみたいという思いの方が強いです」
「……」
うわ、正答。
宇月もその返事は予想していなかったらしく、目を見開いている。
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