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確かにこの見た目を利用したことはあった。だが、好んでいるわけではない。
勝手に好きになられる。
男に強姦されかけたのも一回や二回じゃない。
「……俺は、完璧ではないから」
今は生徒会補佐という誇れる立場にいるものの、だからこそ一瞬も気を抜くことが出来ないのだ。
廊下を歩くときだって、授業を受けるときだって、お手洗いに行くことすらままならない。
男しかいない場でのお手洗いなんて危険でしかないからだ。
その為単独行動は控えている。
晟は忍がどれだけ狙われやすいかというのを知っているから離れないでいてくれている。
でも、この男────片谷はまだこの学校の恐ろしさを知らない。高校生の男子が集えばそれなりに性欲が溜まり、あわよくばと男子に手を出す輩など大量にいるのだ。
そんな、危険に満ちた忍を。
よく、簡単に好きだと言える。
期待はしない。失望もしない。過度な協力も頼まない。
だからこそ、他人からの好意は迷惑でしかないのだ。
わざわざ期待したとしても、捨てられるだけなんだから。
人間はいざとなったら、簡単に捨ててしまうものだから。それこそ、使い古した人形のように。
「……俺、こんなになにかを手に入れたいと思ったのは初めてなんです」
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