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片谷が忍の悲痛を受け止めたような顔をしてそう言った。 「今までは与えられてばっかでした。だからなにかを欲したこともない。自分でも、欲がないんだと思ってました。でも……」 「……」 「あなただけは、なにがなんでも手に入れたい。そんな欲があるんです」 まっすぐ、見つめられた。 そんな決意がこもった瞳で見つめられたことがないから、つい目が潤む。 片谷はそんな忍の顔に劣情を煽られたかのように目を瞠り、冷たい頬に手を添えられた。 「あなたの痛みを……俺にくれませんか」 「……っな……」 「一ヶ月かけて、証明してみせます」 そんなこと、言われたことがない。 恥ずかしい台詞に忍も恥ずかしくなり、顔を真っ赤にさせていると耳元で囁かれる。 「忍先輩のことが好きだってことを……ね」 「ぁっ……!?」 その言葉のあとに、耳に息をふっと吹きかけられた。 驚いて片谷の肩をどんっと突く。かなり強い力でやったはずなのに片谷はびくともせず微笑むだけだった。 重い話をしたのに、どうして引き下がらない? ──本気、なのか?

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