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「えっと……忍さんって片谷くんと仲いいんですよね?」 「いや、そんな仲いいってほどよくもないですけど……」 「で、でも朝一緒にいたし、さっきも一緒にいたじゃないですか!」 「……否定はしませんが」 ──あーめんどくせー! なにが聞きたいんだ。さっさと用件を話してくれないとイライラのボルテージがマックスになってしまう。 「あの、片谷くんの連絡先教えてくれませんか……?」 「……っほ、んん」 本人に聞け、と言いそうになってしまった。いけないいけない。 ここは知らないと言うだけでは反感を買ってしまう。その為、自分でも臭い台詞を言わないといけないのだ。 「申し訳ありません。私はまだそこまで親密ではございませんので……」 「……そう、ですか」 「でも、大丈夫ですよ。あなたがたはわざわざそうしなくても十分魅力がありますから。是非、片谷さんの方から声をかけられるのを待ってみてはいかがですか?」 ここでにこっと笑う。ネコ系男子が一斉に目をハートにさせ、もじもじし始めた。 その様子を見て、つい顔が(ひず)みそうになる。 このように自分の容姿を使っているのだが、折角この顔に生まれたのだから活用させてもらっている。 丁寧に一礼し、また微笑んだところでローファーを履いて外に出た。既に片谷が待っていて、何故か労わるように微笑まれた。

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