33 / 131
[2]-17
「えっと……忍さんって片谷くんと仲いいんですよね?」
「いや、そんな仲いいってほどよくもないですけど……」
「で、でも朝一緒にいたし、さっきも一緒にいたじゃないですか!」
「……否定はしませんが」
──あーめんどくせー!
なにが聞きたいんだ。さっさと用件を話してくれないとイライラのボルテージがマックスになってしまう。
「あの、片谷くんの連絡先教えてくれませんか……?」
「……っほ、んん」
本人に聞け、と言いそうになってしまった。いけないいけない。
ここは知らないと言うだけでは反感を買ってしまう。その為、自分でも臭い台詞を言わないといけないのだ。
「申し訳ありません。私はまだそこまで親密ではございませんので……」
「……そう、ですか」
「でも、大丈夫ですよ。あなたがたはわざわざそうしなくても十分魅力がありますから。是非、片谷さんの方から声をかけられるのを待ってみてはいかがですか?」
ここでにこっと笑う。ネコ系男子が一斉に目をハートにさせ、もじもじし始めた。
その様子を見て、つい顔が歪 みそうになる。
このように自分の容姿を使っているのだが、折角この顔に生まれたのだから活用させてもらっている。
丁寧に一礼し、また微笑んだところでローファーを履いて外に出た。既に片谷が待っていて、何故か労わるように微笑まれた。
ともだちにシェアしよう!