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「……ふぁ……」
目覚ましの煩わしいアラーム音で目を覚ました。なんとか手を伸ばして目覚ましを停止して起き上がる。
今では暖かいからまだいいが、本格的に冬が近づいてくると本当に起き上がるのに三十分かかってしまうのだ。
盛大に欠伸をして、伸びをする。
「くっ……ぁあ……」
精一杯伸びをしたあとに、つい気が抜けてだらしない声が出てしまった。
寮のこの自室は唯一気が緩む場所と言っても全く過言ではない。
自分が生徒会補佐ではなくなる場所。謂わば安息地帯だ。
ゆっくりベッドから起き上がり、サイドテーブルの上にあるネックレスと指輪を身につける。
ネックレスは中学一年生のときに一つ下の男の子がくれたもの。指輪はこの高校に入ったときに宇月がくれたものだった。
入学した当初から生徒会入りが決まっていて、その所為か目をつけられることが多かった。
そのため少しでも垢抜ける必要があったので、宇月がくれたのだ。かなり高いらしい。
このネックレスは、かなりかっこいい一つ下の男の子がくれたもので、顔はうっすらとしか覚えていない。
だが、猛烈に懐いてくれた覚えがある。
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