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「……あの。俺が思ったこと言ってもいい?」
「なに」
「忍先輩は、もっと気軽に考えてもいいんじゃないんですか?」
「え」
「確かに生徒会にも入ってますし……どうしても責任を感じてしまうのもわかります、でも」
片谷の話にのめり込んでしまう。
聞かざるを得ない、話し方。
纏っている雰囲気と彼が持つ人を引き寄せるオーラ。
ゾクッ。
「もったいないじゃないですか。折角の高校生なのに楽しまないで」
「……片谷」
「俺が言えたことじゃないかもですけどね」
そう言って片谷ははにかんだ。白い歯を見せながら、眦を優しく下げながら。
こんなことを言われたことがないからなのか、心臓が早く脈打つ。
その拍動が、衝撃が。身体中に強く響いてくる。鳴り止まなくて、つい胸の辺りをぐっと握った。
ふと、片谷に耳のピアスを触られる。白い忍の肌とは対象的な赤いピアスだった。そういえば片谷の耳にもついている。小さく揺れる、金色の星の形をしたピアスが。
「似合ってる……本当に素敵です」
「……素敵、て」
「あなたは本当、魅力的なひとだ」
目を見てそんなこと言わないでくれ。
期待してしまうから。魅力を感じてしまうから。
もし好きになってしまたっとして。離れられなくなってしまうのが────怖い、から。
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