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晟の言葉に、盛大なため息を吐く。 「本当に面倒だな……俺と同じスマホケースとかピアスとか買う輩いるし」 「あーな。あれだよ。『あの人と同じもの持ってたら少しでも近づけるわ!』……みたいなそういう感じ」 女子かよ。 心の中でそう突っ込む。 一応アクセサリー類は街に行って買うようにしているが、それでも似たようなものを買う男もいるのだ。 また新しいものを買いに行かなければ。 「てか、忍が耳に穴空けるとは思わなかった。痛くねえの?」 「あんまり……とにかく垢抜けたくてしょうがなかった」 「髪は染めないのな」 「俺は黒髪の方がいいだろ」 「……まあ、激しく同意するけど」 まあ、本音を言えばただ髪が痛むのが嫌なだけなのだが。 そういえば片谷の髪は少しだけ茶色がかっていた。 きっと全体的に色素が薄いのだろう。 「あーでも……うん。忍は普通に黒髪の方が似合ってるよ。なんつーか、美人っていうか?」 「ちょ……ばか、くしゃくしゃになるっ……」 晟が忍の髪を乱雑に撫でてくる。その様子を周りにいる男子たちに見られ、「わ……やっぱ僕、補佐と晟さんが一番好きだなぁ……」なんて声も聞こえてきてしまった。 なんでこの学校はこんなに腐男子率が高いんだ。

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