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「……このタイミングで前に出てください。中央に向かって歩いていって、そこで挨拶を」 「はい。あ、結構最初の方ですか?」 「もちろん。初めのことばが終わり次第、準備していてください」 現在、他の生徒が昼食中にリハーサルを行っていた。当然歓迎会についてだ。 歓迎会の主な目的は、学校生活での決まりごとの確認と部活動紹介。 まあ、様々な部活動が力を入れている。 篠田から粗方の予定を聞いたところで、真緒のところに向かった。真緒の今回の役割は誘導のため、場所を確認していた。 「ん、忍くんじゃん。どした?」 「暇になったので。本当面倒ですよね……これ」 「そお? 俺結構好きだよ。なんか、みんな頑張ってるなーって思う」 変わり者だな。心の中で吐き捨てるように言う。 一生徒として普通に楽しみたかったのに、全員の前に出るはめになるとは思わなかった。 ──あー、生徒会に入るんじゃなかった…… それなりに楽しんではいるが、どうしてもただ主催する側ではなく主催される側になりたいのだ。 それとも、この学校に居場所をもらっていることを素直に喜ぶべきか。 「……会長、やっぱ騒がれるかなー……去年俺らの代すごかったもんね」 「……ああ」

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