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去年、忍の学年で一番騒がれたのは会長である宇月だった。 その頃宇月は生徒会長としてではなく生徒会準補佐として活動していて、あまりにも顔が整いすぎているものだから色んな、ありとあらゆる男子生徒が反応した。 あれはもうとにかく凄いの一言でしかない。 「今年は……誰が騒がれるんだろうね? 見た感じ今回の一年は小柄っていうより雄臭い男子ばかりいたような気がしたから」 「……副会長じゃないですか?」 「俺は忍くんだと思うけど」 「やめてください」 それはいくらなんでも笑えない冗談だ。 男にモテる自分。想像したくもない。 すると、ふと宇月と篠田が仲睦まじく話している様子が目に入る。 なにか宇月が篠田に耳打ちをして篠田がくすっと微笑んだかと思えば、宇月が篠田の頭を優しく撫でる。 普通はありえない光景。でも、この高校ではこれが普通。 いつか自分も、あんな風に誰かと──片谷と密着して、幸せそうに微笑むのだろうか。 いや、片谷ではなく他の誰かかもしれない。 それか、自分にはそんな相手が現れないか。

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