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いよいよ、新入生歓迎会が始まる。 体育館にはありとあらゆる部活動がスタンバイしており、新入生が入場してくるのを今か今かと待ち望んでいた。 そんな中忍は歓迎の挨拶が書かれた紙と一人でにらめっこをしていた。 間違えるわけにはいかない。 堂々とした振る舞いをして、生徒会やくとして一切恥ずかしくないようにしなければ。 そんなことばかり考えていたから、急に宇月に声をかけられたときは本当に驚いた。 「……おい」 「うわっ!」 耳に僅かに感じた吐息に大きく肩を跳ねさせると、明らかに宇月が訝しげに目を眇める。 まるで、そんなに嫌なのかと言っているようだ。 「なぁに真剣に目ぇ通してるんだよ。おまえらしくねえなあ」 「だっ……て。失敗するわけにはいかないじゃないですか」 「失敗? なんだ。おまえはこんな短ぇ文章すら読めねえやつだっけか?」 「……」 目を妖しく光らせ、口角を悪戯に上げた宇月がそう言った。 これは、明らかに。 「……馬鹿にしてますよね」 「いや? おまえがこんなので焦るほどちっさかったのかと思っただけだ」 「馬鹿にしてるじゃないですか」 どうしてこんな男が人気なのだろうか。

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