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「……そういや、おまえ知ってるか?」 「なにを」 「今年の一年、おまえ狙いの奴多いらしいぞ」 「……はあ?」 「片谷優都に連れられて歩いているときに軽く一年の間で話題になったそうだ。あんな綺麗な男は見たことない、ってな」 勘弁してくれよ。 大体、この高校には自分よりも容姿が優れた男なんて数えきれないほどいる。その中でどうして自分が。 そんな疑問が顔に出ていたのか、宇月が苦笑した。 「まあ、おまえは他の奴より格段に顔が整ってるからな。目が肥えてるお坊ちゃんでも綺麗って思ったんだから余程そうなんだろ」 「……へぇ。一般人って知ったらどうなりますかね」 「どっかの財発の御曹司ってよりは普通の人間の方が都合いいだろ。更に狙われるだけだ。やめとけ」 為す術もない。どうすればいいんだ。 というか、先程から宇月とこそこそと話しているからか他の生徒より早く準備をする吹奏楽部の生徒がちらちらとこっちを見てきている。 どうせ「萌えるー」だの「尊い」とか言ってるんだろう。 宇月と篠田の仲を言いふらしてやりたい。 宇月の彼氏は副会長だぞーと叫んでやりたいがそんなことをしても返り討ちに遭うだけなのでやめておく。 「うちの吹奏楽部、小柄な奴ばかりだよな」 「まあ、そうですね。低音楽器の人は少し身体しっかりしてますけど」 「……一か月前フルートの二年に告白されたんだよなぁ」 「へー。よくあなたみたいなひとに告ろうと思いますね」 「……てめえ、ふざけんなよ?」

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