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──くそ……どうしてこんなに、乱されるんだ。 正直、ここから先の記憶はなかった。 自分がどんなことを言ったのか、どんな顔をしていたのか、どう宇月の隣に戻ったのか。 ふと気づくと真緒が忍の顔を近距離で見つめていて。 「……っわ」 「どーしたの? なんかぼーっとしてるけど」 「あ……なんでも、ないです」 「そーお? にしても、随分熱い視線が送られてくるよねぇ。暑苦しーくらいに」 茶色く染められた真緒の髪がふんわりと揺れる。それと同時に銀色のピアスが揺れ、忍とは違う華やかさがあった。 左には宇月、右には真緒。 周りから見ると、かなり顔面偏差値が高いんだろうなと思う。もちろん、忍も込みで。 「さ、いよいよ部活動紹介かぁ。どんな感じになるのか楽しみだね」 「そうですね……みんな気合いを入れますから」 「今年はかなりいいものになるんじゃねえのか? なんたって、片谷狙いの部活動で溢れてっからなあ」 最初は男子バスケ部からだ。ユニフォームのデザインがかなりかっこよくて、人気のある部活動ではある。 『どーも! 男子バスケ部でーす!』 主将が元気よくハキハキとそう言う。主に活動場所や活動内容を言うのだが、早口でなにを言っているのか正直よくわからない。 ここには三つの体育館があり、一つは練習試合用として、もう一つは運動部用に、あと一つは行事用として使われているのだ。 最初の頃はよく戸惑う。

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