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『さあ、それでは……この部活のモテ男三人にスリーポイントシュートをしてもらいたいと思います!』
これまた名物のシュートだ。
入ったら盛り上がるし入らなかったら面白いので笑われる。
忍もこれは楽しみにしていたのだ。
一人の生徒がドリブルをしながら手拍子を煽る。生徒たちの拍手の音が大きくなったところでシュートを放った。
それは綺麗な弧を描き、リングに当たることなく成功する。体育館が大きな歓声で包まれた。
続くもう一人も成功し、残るは主将のみ。
しかし、主将がシュートを打って入るかどうかの瀬戸際でリングに当たってしまい、そのボールが大きく跳ね返ってしまった。
運悪くそのボールは一年生の方に行ってしまい、真緒と宇月が走り出した。
だが忍は落下地点を確認し、走る必要はないと真緒と宇月の腕を引っ張る。
二人とも驚いた顔で忍の方を振り向いた瞬間、手でボールを受け止める心地よい音がした。
そのボールを受け止めた主に全員が注目する。
男子生徒はゆっくりと立ち上がり、ボールを持ったまま主将の元へと向かった──瞬間、ネコたちの黄色い悲鳴が湧き上がった。
そう、ボールを掴んだのは片谷だったのだ。
あいつなら平気だろう。そう思って二人の腕を引っ張った。その判断は正解のようだ。
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