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ご褒美、という言葉に忍が顔を紅潮させる。 きっとこの様子ではなにか卑猥なものを想像しているのではと思うが、そう勘違いしているならそれにつけ込んでしまえばいい。 とりあえず持っているボールを背が高い一年生に当て、真ん中辺りに戻った。 「おまえほんと最低……」 「え、酷いなぁ」 自分よりやや低い位置にある整った顔を見つめると、忍がぷいっとそっぽを向いてしまった。 ──そんなことしてもかわいいだけですけどね。 この人はことごとく自分の好みにぴったりと当てはまる行動をしてくれる。 だが、きっとこの人のことだからやりすぎると嫌われてしまう。 少しくらいこの人にいいところを見せてほしいと思ったので、外野からもらったボールを忍に渡した。 「どーぞ」 「……ぇ」 ボールを受け取った張本人は目を瞠って少しの間固まっていたが、片谷の狙いがわかったらボールを持ったまま敵陣地ギリギリまで行って勢いよくボールを投げた。 そのボールは見事体格のいい二年生に当たり、観客から黄色い声が聞こえる。 この人、小柄な男子からも好かれているのか。 万人受けする顔らしい。 「……最高だな」 「ん、なんか言った?」 「あ、いーえ」 つい心の声が盛れてしまった。 いつか忍の欲情にまみれた瞳を片谷だけに向けてくれる日がくると思うとゾクゾクする。 あー、襲いたい。 今すぐにでもその化けの皮を剥いでやりたい。 この人はどんな人にでも敬語を使えるような器用な人じゃないんだから。

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