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「……初めてあんな近くで大宮先輩見たけど、すっげぇ美人なんだな」 「うん。あんな人がずっとそばにいたら美的感覚狂うよね」 ジャージから制服に着替えている途中、晃平がしみじみとそう言った。 確かにあの人は顔が整いすぎている。常人がずっとあの人のことを見ていたら目がおかしくなるくらいに、だ。 「……でもさ、晃平」 「なに」 「俺、あの人の隣にいても見劣りしない自信ある」 「どんな暗いこと言うかと思ったらそれかよ! おまえなら見劣りしねーよ当たり前だよ!」 その友人の言葉にほっとする。第三者から見て自分が見劣りしないかどうか気になったのだが普通に平気なようだ。 あともう少しで忍に会える。 いや、もうさっき会ったのだが少しでも見かけない時間が会ったらなんだかソワソワしてしまう。 ──ぎゅーってしたい。 自分よりも少し頼りなくて、細くて小さい身体。初対面のときは忍の方が大きかったけれど、今では片谷の方が大きい。 こう思うと、自分は本当に忍のことが好きなんだと思う。 一ヶ月の間だけつき合おうというのはその場でぱっと思いついただけの提案だった。だが、あの判断は正解だったんだと思う。 あそこで諦めていたら今のような関係にはなれなかっただろうし、逆にグイグイといっていたら更に嫌われてしまう。 我ながら頭がいい。 「晃平」 「あんだよ」 「俺のことめっちゃ褒めてみて」 「イケメン、愛想いい、優しい、声かっこいい、背ぇ高い、運動神経いい、金持ち、頭いい」 「ありがとう。自信ついた」 「なんのだよもう意味わかんねえよおまえ怖いわ」

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