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肩にある片谷の腕を外し、睨みつける。片谷は忍が睨んでもどうともしないようで、愛想笑いをしてきた。
「おまえ、しょっちゅうあるだろこういうの」
「まあ、ないって言ったら嘘になっちゃいます」
「……モテる男の余裕か」
こちとら男にしか声をかけられないというのに。
せめてモテるなら女子にモテたかった。
外出するたびに声をかけられるのは嫌だけど。
「じゃ、行きますか。丁度案内開始されたみたいですし」
「うん」
四番シアターに向かう。ポップコーンを一つ取り出し、口の中に放り込む。うん、美味しい。
もう一つ取り出し、トレーを持っているから両手が塞がっている片谷の口に突っ込んだ。
「んぐっ?」
「あったかいうちに食べた方が美味いだろ、こういうのって」
「……」
目を見開かせ、きょとんとした顔が子どもみたいでつい吹き出してしまった。
このとき、ちゃんと見ていればよかった。
片谷が、寂しそうな顔をしていたこと。縋るような目で見ていたこと。
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