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「……面白かったー!」 「やっぱり、文字だけのと映像で表すのとでは違いますね」 「んー、やっぱあそこのどんでん返しがなんとも……」 残ったポップコーンをずっと口に放り込みながら感想を言っていると、片谷が忍が残したドリンクを飲み干した。 水っ腹だったので助かる。 食べ終えたポップコーンの箱をゴミ箱に入れ、ふーっと息を吐き出したところで片谷の顔を見る。 「次はどこ行くんだ?」 「忍先輩お腹空いてます?」 「うーん……少しいっぱいかな」 「じゃあピアス買いに行きましょう。マーキン……いえ、なんでもないです」 「……」 今、明らかにマーキングと言おうとしただろ。まあいい。 映画館を出て、先ほどより少し日差しが強くなっていることに気づく。そこまで厚手の格好をしているわけではないから暑くはない。 片谷は迷うことなく人と人の間を縫うように、忍のことを気遣いながら進んでいく。 それなりに道が埋まってしまうほど人がいるのに、片谷はその中で群を抜いてオーラがある。 大体道行く人は片谷の顔を見て、中には二度見したりわざわざ見るために覗いたりしている。 たまにその視線が忍の方に来るが、片谷の方が注目されている。 やはり校外でもこいつは人気なのか。 少し複雑になりながら片谷の後をひたすらついて行くと、少し通りから外れた道に片谷が入っていき、それを追うように忍も道を歩く。 「ふう、意外と人多いですね。忍先輩とゆっくりしてられない」 「人混みあんま好きじゃないんだけど、おまえは平気なの?」 「んー、好きではないですけど平気ってわけでもないです」 「曖昧」 忍の言葉に片谷が「ははっ」と笑った。どこが面白いのかわからないが、楽しんでくれているならそれでいい。

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