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慌てて服を脱いで、裸になって風呂の中に入った。 お湯は熱くて、でもそう感じられなくて。それくらい頭がぼーっとしてしまっている。 断ればよかったなあ、と少し後悔している。安心して寝れないかもしれない。 片谷は自分より大きくて、体型もしっかりしている。もしなにかあったとき、この自分の細い身体で対応できる自信がない。 いや、それ以前に。 片谷相手に反抗して拒否できる自信がない。 ──末期だ。 とうとう自分すらも見失いかけている。 大きくため息を吐いた。 ある程度身体を温めたところで髪を洗って、身体を上がって身体を綺麗にしたところでもう一度風呂の中に入った。 濡れた髪からぽたぽたと水が垂れてくるのが嫌で、一気に髪を後ろにまとめてオールバックにした。 うん、さっぱり。 そして、片谷が言っていた言葉を心の中で反芻する。 『キスをしてくれるなら、言ってあげますよ』 キスは一回、いや二回されたのか。 子どものようなら拙いキスと、大人な深いキスを。 片谷が望むのはどちらだろうか。 あれ以来身体の接触は全くと言っていいほどない。 そもそも、本当に片谷は忍がキスをしただけで言ってくれるのだろうか。 あー、わからない。 ていうか、段々腹が立ってきた。 なんだ、キスしてくれるなら言うって。年下のくせに要求するのか。いや、年下だから要求するのか。 なんだか考えすぎてきたら頭がぼーっとしてきた。いけない、これ以上入っていたら貧血になってしまう。

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