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 痛みが襲ってくると思っていたのに予想していた痛みは全くなく、それどころか身体をも壊してしまうような快感がある。  片谷は忍の喘ぎでそれを理解したのか、忍の細く扇情的な腰を両手でがっと押さえ、打ち込むように挿入を繰り返した。  その途中、激しく貪るようにキスもされた。  何度も、好きだと言われた。  忍は既に自分の気持ちをわかっていたにも関わらず、なにも言わずにその快感に溺れる。  流されてしまうような気がしたからだ。  片谷の暴力的なまでに激しい好意に、欲情に。 「ぁあっ、あっ、あっ!」 「……っ、忍、先輩っ……俺の名前呼んでくれますか……?」 「あっ、んぅ、優都っ……」  名前を呼んでくれと何度も言われた。だから忍は、何度も片谷の名を呼んだ。  隣の部屋に聴こえるんじゃないかとか、下に大きな物音が響いてるんじゃないかとか、そんな考えはあっという間に吹き飛んだ。  この、片谷に抱かれていた二時間強という長いようで短い間だけは。  ……片谷のものになれた気がした。

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