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「……やっと熱下がった……」  片谷に抱かれてから、一週間後。  三日間不思議なくらいなんの接触もなく、四日間は高熱でダウンしていて、やっとその熱が下がった。  頭ががんがんするほど頭痛が酷く、吐き気もずっとあって戻したこともあったが、なんとか平熱ぐらいに下がってくれたのだ。  晟がお見舞いに来てくれたこともあったが、片谷には来るなとは言っておいた。  晟にはいくらでも移ってよかったが、片谷には移したくなかった。  自分の怠慢が招いた風邪なのに、それを片谷に移すわけにはいかない。  片谷が休むことによってそれに連鎖するように他の生徒も休んでしまったら困る。  寝てばかりいて鈍った身体をなんとか起こし、やっとの思いで立ち上がる。  早く復活しなければと思っていたのに、思いのほか長引いてしまったな。  ──まあ……セックスしたのが原因かもしれないんだけど。  あれから、片谷の部屋に泊まって夜を過ごした。  が、平然としていられるわけもなく寝れないまま朝が来て、何事もなかったかのようにご飯を食べ、別れた。  片谷は忍の身体を気遣ってきたし優しくもしてくれたが、なんとなくそれが嫌で忍は素っ気なくしてしまったのだ。  最終的に挿れろと言ったのは自分なのに。  教科書がスクールバッグに詰め込まれていることを確認してから、部屋を出る。  すると、そこには久しぶりに会う晟がいた。 「よ。調子はどうなの?」 「晟の顔見たらちょっと悪くなったかもな」 「ひっで」  もちろん冗談だ。  晟が歩き出す。置いていかれないように少し早歩きをして、晟の隣に並んだ。 「おまえがいないから、もー暇だったわ。周りのやつらはずっとしょんぼりしてるし」 「あ、そうなの?」 「ああ。クラス全体的に暗かった」  まさか自分が抜けただけでそこまでなるとは。  いや、晟のことだ、盛ってるかもしれない。  ……真に受けないでおこう。

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