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「……やったあ……長年の夢が叶いました」 「長年?」 「はい。あ……先輩には言ってませんでしたっけ」  首を傾げる。  すると片谷が忍の首にあるネックレスに触れて、懐かしむように目を細めて言った。 「このネックレス、あなたが中一のときに小六の俺があげたものなんです。覚えてますか?」 「……え?」 「一目惚れでした」  あ……片谷に言われて、思い出すことができた。  そうだ。女子を振ったあとに、一つ年下の男の子に渡されたものだった。  その男の子、片谷だったのか……! 「ふふ、びっくりですか?」 「……相当」 「俺、頑張りましたもん。先輩に見合う男になれるように」  頭をそっと撫でられる。まるで忍の髪を楽しむように。  片谷って、そんなに自分のことが好きだったんだな。 「……先輩」 「なに?」 「今日の夜、もう一回抱かせてください。今度は……優しく抱きますから」  片谷が忍の顔を覗き込んで言ってきた。  忍は片谷の頬を両手で包んで、一回だけ触れるキスをしてからはにかんだ。 「遠慮すんな。俺が壊れるくらい激しく抱いてくれよ」 「……忍、先輩。俺、容赦しませんよ?」 「望むところだ、このやろー」  片谷がかなり強い力で抱きしめられる。忍もその広い背中に抱きついた。  片谷となら、なんでもできてしまうような気がしたんだ。

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