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 それから二人で肩を並べて歩き、晟がいるという居酒屋へ向かう。  そこは会社から結構近くにあり、楽にたどり着くことができた。  中に入ると「こっちこっち!」と声をかけられ、そっちの方を向くと晟がネクタイを緩めた姿で待っていた。 「おお……ていうか、既に飲んでたの」 「当たり前だろー? 片谷くん久しぶりじゃない?」 「お久しぶりです。一年ぶり……くらいですかね。相変わらずお元気で」  片谷が社長になっても態度は変えずに、学生時代のままだ。  この三人で集まると、なんだか高校生に戻れたような気分になれる。  三人とも大学は違って、父親が忍をこの会社に勧誘したのだ。忍はかなり喜んでいた。  晟は、IT系の一流企業に就職して、公私共々いい生活を送っているらしい。 「……あれ、晟、なにその指輪」  よく見ると左手の薬指に指輪がはめられている。  おや、もしかして。 「ふっふっ……俺、入籍しちゃいましたー!」 「ええ!?」 「……わあ」  びっくりした。  なにかのドッキリなのかと思ったが、晟に限ってそれはない。 「相手って誰?」 「ほら、忍と片谷くんが紹介してくれた……」 「あの子!? 嘘。そんなに続いてたんだ……」  あの子、というのは何年か前に紹介した女の子のことだった。  かなり前のはずなのに、つき合ってるということすら知らなかった。  隠すのが上手いんだな。恋愛沙汰に関しては。 「あ、ほら、おまえらの分のビール」 「ありがとう……おめでとう」 「末永くお幸せに」  生ビールのジョッキを合わせ、一気に飲む。  二十代の頃は美味しさとかよくわからなかったが、真面目に働くようになってやっと美味さが身に染みるようになった。  忍も「くぅ……!」と言っている。 「なーんか、久しぶりに片谷くん見たけど元気そうで安心したわ。学生時代よりもイケメンになったんじゃね?」 「ありがとうございます」  晟に褒められるのは全く嫌いではない。

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