124 / 131

[8]-3

「懐かしいな。高校生のときはあんなにきゃーきゃー騒がれてて、他校の女子からも告白されまくってた二人がこーんなイケメンになっちゃって」 「……うさんくせえ褒め言葉だな」 「いやいやまじで。うちの会社でもおまえらのこと話題になってるんだぞ? ○○社にイケメン社長とイケメン秘書がいるって」  忍と一緒に苦笑する。  イケメンと言われるのは嬉しいが、今の片谷には忍がいるのだし、浮かれることは一切ない。  合コンとか人数合わせで呼ばれても、女子に口説かれたりするがなんとも思わない。  それなら忍の方がよほどかわいいのに。 「ほんっと、仲いいなら俺は嬉しいよ。あんなキューピッドになるなんて、俺はもううんざりだ」 「その節はご迷惑をおかけしまして……ね、忍さん」 「俺?」  あのときは晟が架け橋となってくれたが、晟の結婚に関しては忍と片谷のおかげだろう。  お互いに助け合っているなんて、変な関係だ。 「晟さんのおかげですよ。そうじゃなきゃ、たぶん永遠に拗れていたと思いますし」 「ははっ、そう? もっと褒めて褒めて」 「調子乗んな」  長かった。ここまで来るのに。  それでも、なんとか大喧嘩はすることなく仲よくやってこれている。  三十代にもなれば互いに落ち着きが出てきて、適度に干渉して適度に離れるということが上手くなった気がする。  一緒に過ごす時間が長くなるたびに、好きになっていく。  愛しくて、愛しくてたまらない。  好きになったのが忍でよかった。 「二人とも飢えてない? 大丈夫?」 「なににだよ。飢えてねーし」 「ちゃんとセックスしてんの?」 「……」  いきなり不躾な質問をされてしまった。  そうだ。晟はこういう性格なんだ。すっかり忘れていたかもしれない。  とりあえず。 「……してないことはないですね」 「やっぱりー。ちゃんとしないとだめだぞ? 肌のハリツヤどんどんなくなってくから……」 「余計なお世話だわ」

ともだちにシェアしよう!