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「晟さんって、なんて言ってプロポーズしたんですか?」
「えー、知りたい?」
「知りたいです」
やや食い気味にそう言うと、晟が苦笑をしてから咳払いをし、真面目な顔つきになった。
少しだけ笑ってしまう。
「……あなたのことをおじいさんになっても愛し続けます。俺と、結婚してください!」
「……っぷ」
「って言いました。そしたら、君のように一回噴き出してからお許しを頂きました」
言葉のセンスが秀逸すぎて、つい笑ってしまった。
悪気はないのだが、つい。
でも、晟らしいプロポーズの仕方だ。女性からしたらそういう言葉は嬉しいのだろう。
喜ぶ女性の顔が頭に思い浮かぶ。
「いやあー、緊張したんだぞ? 指輪のサイズ測ったり、うん十万の指輪買うのも」
「ほとんど指輪のことじゃないですか」
そうか。指輪を気に入られるためにも慎重に選ばなければいけないのか。
だとしたら、ちょっとだけ緊張するのかもな。
晟が男の顔になっていて、少しどきりとしてしまう。
ああ、見てしまったという感じで。忍が今の晟の顔を見たら笑い転げるだろうが。
「まあ、上手くいってよかったですね。晟さんにも幸せになってもらいたいですし」
「わーお、社長からのそんなお褒めの言葉。ありがたいですぅ」
「馬鹿にしてません?」
揶揄が入った口調でそう言われたため、こちらも半笑いでそう反論すると晟がわざとらしく「バレたぁ」と言っていた。
大人になったかと思ったのだが、こういうところはまだあの頃のままらしい。
……変わらない、という意味ではいいのだろうか。
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